LTL 二人の主役。荒川零弥と冴木麗。

中々、公開されないですね…ノベル系アプリゲーム LTL 第三幕・藝術家の庭。

 

前回のブログでも紹介しましたが、既にこの作品はios版の審査に出されているとの事で公開間近だとは思うのですが…

 

参照記事:近日中にも公開?LOOP THE LOOP 第三幕・藝術家の庭 - ころがるさいころ。

 

さて、今回はネタバレありで、LTL 第一幕・飽食の館に関する感想を公開していこうかと思います。

 

先ず、わたしが飽食の館を初回プレイして、思ってことは事件が中々、発生しない事でしたね。

 

このノベル系アプリゲームをダウンロードされた方は、大概、コッテコテの館を舞台としたクローズド・サークルのミステリーゲームだと思われたと思います。

 

しかし、プレイすると分かるんですけど、序盤は登場キャラによる、オタクが好みそうな日常が長々と展開されていきます。

 

結構、この序盤のせいで、このアプリゲームを最後までプレイする事なく、脱落される方も多いようです。

 

ただ、このダラダラとして日常が後々、分かるんですけど、非常にこの物語の重要な根幹となっているんですね。

 

出来れば、序盤のような話の展開が慣れない方は苦痛かもしれませんが、是非、第4章までは読み進めて頂きたいです。

 

第4章から展開がガラッと変わり、日常では見せてこなかった登場人物の本性が垣間見れるようになります。人は追い込まれると、素の部分が出てきますからね。

 

さて、わたしがこの作品で一番のお気に入りキャラは何と言っても、冴木麗ですね。

 

リアルに変人ってこういう人を指すんだと思います。彼の異常なまでの負けず嫌い、大人げなさはどこからきているんでしょうね…。

 

ある意味、おバカで非常に残念な人なんでしょうけど、社会で成功する方はこういう尖ったキャラクターを持つ人が多いような気がします。

 

人一倍、ぶきょっちょな癖して手と服をソース塗れにしながら、周りの輪に加わる事なく、黙々と七面鳥を切り分けようとしている様子は、彼のキャラクターをよく表していると思います。

 

周りもフォローしようと気を使っても、彼は態度は完全にどこ吹く風という様子でした…綺麗に切り分けるまで、意地でも自分の手先の不器用さを認めようとせず、みっともない言い訳を続けるところは、ちょっと笑いました。

 

こんなしょうもない人ですが、社会的にはあのホリエモンのような若くして大成功を収めた起業家という設定です。

 

そして、LTLにおいては、絶対に欠かす事が出来ないキーパソンでもあると思います。正直、冴木麗なくしてLTLの話は成立しないでしょう。

 

飽食の館とその続編であるepisode0を完全プレイされた方は分かると思うんですが、彼はこの館で、非常に悲しい業を背負う事になりますよね。

 

episode.0において、冴木麗が最初から積極的に館の来訪者と協力をして脱出を試みていたら、奈都子はあんな惨たらしい死に方はしなかっただろうし、一倉と真咲は現実世界で幸せに結ばれていたかもしれません。

 

館から現実世界に戻るべきと分かっていながら、仮に戻れたとしても、瀕死の状態で生きていられるか分からない冴木麗。

 

欲しいままに成功を収めて日常に、生きる事に「退屈」を感じ始めていた冴木麗。

 

館の生活を通して、現実世界に新たな希望を見出した来訪者の感情に触れて、戻るべきなのに積極的に行動に移せない冴木麗。

 

決めた事は、絶対に曲げない不屈の根性を持っている彼でも、死ぬ事に対しては本能的に怖がっていたという事がよく分かります。

 

その結果、最初の館の来訪者達は非業な最期を迎えてしまいました。

 

episode.0でのハイライトは、一倉が冴木麗に残した最期の言葉。

 

「生きている事に意味を感じていなくて、命って何より大事だと思っていたけど、この館に来て、命を懸けてでも、やらなければいけない事があると気づいたんです。」

 

冴木麗も同じく日常に生きる意味を見失い、本能的に命を失う事を恐れていたと思います。

 

そんな彼の心境に一倉の最期の言葉は「深い絶望」と「新たな決意」を植え付けたんでしょうね。

 

また、狂気に走った江田でしたが、彼に対して冴木麗はある種の同情を感じたようですね。

 

狭い世界で人間関係を壊される事は殺される事に等しい…他の世界では別のグループに移ればよいのだけれども、閉鎖された館では逃げ道はありません。

 

ときわ達が原因で、やよいが自殺したと思い込んだ江田には、もう館では自分が死ぬか、自分の存在以外を抹消して、新しい来訪者を待つ選択しか残っていなかったんでしょう。

 

冴木麗はその事をよく理解したんだと思います。そして、そこまで彼を追い込んだ原因について考えを巡らせるようになります。

 

「新しい来訪者を無事に現実世界に帰す、そしてその為には、来訪者同士の信頼関係を是が非でも維持していかねばならない」それこそが冴木麗にとって、一倉が最期に残した「命を懸けてでも、やらなければならない事」になったのだと思います。

 

同時にそれが無念の最期を遂げた来訪者達に対する、贖罪になるとも考えた事でしょう。

 

自分が来訪者達に積極的に関わり、主導していかなければ、この館の世界でまた同じ惨劇が繰り返されると悟ったんでしょうね。

 

さて、ここまで冴木麗を中心に話を進めてきたんですが、LTLの主人公、荒川零弥にも触れたいと思います。

 

新たな来訪者を迎えた館で、冴木の思惑とは裏腹にまた惨劇が発生します。冴木は疑心暗鬼に陥る来訪者達を懸命にまとめようと心を割いていたんだと思います。

 

ここで来訪者同士の信頼関係を修復が出来ない位に壊してしまう事は、絶対に避けなければならなかったでしょう。

 

そんな状況に陥れば、冴木自身がこの先にどうなるか一番よく理解出来ていたはずです。現に彼は自室に閉じこもってしまいましたから。

 

苦悩する冴木と来訪者達を前に、主人公の荒川零弥は胸の内を吐きます。

 

「帰りましょう。みんなで協力して現実世界に」

 

未知の襲撃者に対して、如何に自分の身を守るかと考えていた来訪者。そして信頼関係の維持にしか考えが及ばなかった冴木麗には、彼の言葉は衝撃だったと思います。

 

その言葉がきっかけでタクトは館の脱出方法に気づき、最後は荒川零弥による決死の行動で、現実世界に帰れる事になりました。

 

冴木麗の妹であるシズクが、館の生活で冴木が一番興味を持った人間は、荒川零弥だったという事はよく分かる話です。

 

何故、あの冴木麗が10代の普通の高校生に興味を抱いたのか?それは「道を示した」からなんだと思います。

 

土壇場の状況で自身の意志が折れそうな時に、その状況を打開した人物に興味を抱くのは当然なんだろうなと思いました。

 

主人公としては、キャラクターがちょっと弱い荒川零弥ですが、ある意味、LTLの主役といっても、おかしくはない冴木麗に認められる事で、なんとか面目を保っているような気がします。

 

LTL 第三幕・藝術家の庭では、どんな展開が待っているんでしょうね?公開告知から大分、経過していて期待度が日増しに高まっています。

 

出来れば、3連休中に公開されて欲しいですね(笑)